自己常識の範囲の狭さ:夜編―短期語学留学
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自己常識の範囲の狭さ:夜編―短期語学留学
前回ホームステイ先からいなかの牧場地へ遊びに行った経験を書きましたが、
今回は夜の素晴らしさと、常識を破る体験を紹介しておきましょう。
話は帰り道のことです。
夜遅くなって家路へと車で帰ることになりました。
道は1本のみ。
まっすぐ町へと伸びています。
街灯はありません。
地平線まで山も丘さえない土地です。
家々もまばらでほとんど視界に入りません。
隣のお家まで何キロもあるような土地です。
その夜は新月でした。
月は出ていない快晴の夜だったのです。
つまりは、明かりが車のヘッドライトのみということです。
前がほとんど見えないので車はスロー運転していました。
なんだか外がざわついている感じがしたので私は思わず「車を止めて!」と
頼んだのです。
家族はニヤリとしました。私のざわつきの理由がわかっていたのです。
車を降りてパパがヘッドライトを消してくれました。
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想像できるでしょうか?空というのは地平線までを指しますよね。
地平線は目の高さより下に位置しています。
山や丘の出っ張りのない地で360度地平線を見ていると、
地球が丸いことがよくわかります。
昼間に地球の丸みを目で確認できて感動していたのです。
人間である自分が周りで一番背が高いのです。
建物もないのですから。
お皿を裏返した上に立っている、そんな感覚です。
夜がどんなものか想像してください。
自分の立っている部分よりはるかに多い星、星、星です。
昼間より暗い分、お皿が小さく感じます。
月明かりもなく電気もないので明かりを放っているのは星のみです!
しかも足元の地平線まで達しているのです。
感動で涙が出ました。私が動くと星が全部ついてきて動くのです。
天井と壁が一緒に動いているような感じに立っていることができませんでした。
星に手が届きそうで、手を伸ばせば手しか長さを感じるものがないため、
そこでやっと距離を感じます。
つまり空間すべてが星なのです。
地面にしゃがみこんで感動して泣いている私を家族は笑って見ていました。
家族にとってはこの光景は普通なわけです。
星が足元に光っていても経験としてありなわけです。
しかし私は星は頭上遠くにちょっとだけあるという常識を持っていたので、
体にまとわり付くかのような星たちの存在感に
どうしようもなく常識を勝ち割られてしまったのです。
普段自分がこうだと思っている常識はただの偏見かもしれないのです。
自分を知ることは世界を知る手がかりになることでしょう。
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